受験生と励ますさん最終章

受験生と励ますさんの物語

この章で受験生と励ますさんの物語は終わります。
最後まで読んでいただいた方はありがとうございます。
ぜひ、少しでも参考にしていただいて自分の受験勉強に活かしていただけると幸いです。

というわけで、物語最終回、どうぞ!!


第9章 どうなったの?受験結果。

 2月某日。

 1週間ほど続いた一般入試は、無事に終わった。
 私はというと、今までの受験勉強の反動を受けて、文字どおり、抜け殻になっていた。

 今まで受験を応援してくれていた人たちには、本当にお疲れ様だったね、という言葉を何度もいただき、とても嬉しかった。
 正直、自分でも、本当に頑張った、お疲れ様自分と、何度も思った。

 受験が終わってから時々、友人たちと、カラオケやボーリングなど、遊びに出かけた。
 遊びにいくなんてことは、受験勉強期間中は、ほぼできていなかったことだ。
 それでも試験の結果がわからないうちは、まだ生きた心地がしなかった。

 そして迎えた結果発表の日。
 よくある受験モノのドラマでは、結果は、受けた大学に見に行くのが通説だが、今の時代、携帯電話からインターネットを通じて確認することができる。
 もちろん大学へ行っても確認することはできたのかもしれないが、私は自分の部屋で結果を確認することにした。

 結果を見ることは簡単ではなかった。
 落ちていたらどうしよう、果たして合格しているのだろうかと、緊張が走る。

 ようやく意を決して、合格者一覧を確認するページを開いた。
 手汗を握る思いだった。
 上から順番に、自分の受験番号があるか確認していく。

 まだ、まだ、まだ、と目線を上から下へ、上から下へと移動させる。
 もしかして、やはり、ここには自分の受験番号は載っていないのではないか、そう思い始めた時……。

 …あった!!自分の受験番号があった!!
 え!?本当にあった!!!!

 私は何かの間違えではないか、と何度も何度も確認した。
 しかし、それは間違えではなかった。
 私は、自分の合格を信じられなかった。

 ドドドドッ!
 階段を降った私は、リビングの扉を勢いよく開いた。
 「やったよ!合格してたよ!」

 母は目を丸くしていた。
 それから一呼吸おいて、「おめでとう」と言うと、なんだか当事者の私よりも安心した様子だった。
 本当に心配してくれていたのだと思う。

 その後も、今まで支えてくれた人たちへ、合格したことを連絡することにした。
 親戚の方、応援してくれていた先輩、学校の先生やその他、お世話になった方々。
 今まで支えてくれてありがとう、皆にそう伝えたかったのだ。

 合格を伝えると皆からは、本当によかったね。すごく頑張ってたもんね。など様々な言葉をいただいた。
 中でも世界史の先生に合格を伝えた時は、本当に喜んでくれた。
 出会って、初めに約束した頃を思い出して、「本当に最後までやりきったね。えらかったね。」
 そういってくれたのだった。

 あと伝えたい人は…。

 1日中報告で、様々なところへ足を運んだ私は、ようやく家へと帰ることができていた。
 自室へと戻り、他にお礼を言いたい人を考えていた、まさにその時だった。
 一瞬、目の前が真っ白になって、気がつくとそこには、励ますさんが現れていた。

 その姿を見て、なぜだろう、涙が溢れてきた。
 伝えたい人はあと一人いた。この人だ。
 「励ますさん…。やったよ。合格したよ?」

 励ますさんは、いつもと変わらない笑顔でそこに居た。
 「…にいちゃん、ほんまおめでとう。うちもほんまに嬉しい…。ずっと見て来たからな、自分のことのようや!」
 励ますさんは、私の顔をみてこう言った。
 「…泣かんでいいんよ?大丈夫や、にいちゃんは合格したんやで?」

 今まで張り詰めていた緊張は、ぷちんと切れ、私は崩れ落ちてしまった。
 そして、声をあげて泣いた。
 ようやく合格した実感を持ち始めたのだった。
 そしてそれは、あまりにも嬉しすぎることだった。

 私が落ち着いたのを見計らって、励ますさんが言った。
 「にいちゃん。ほんま合格おめでとうな。…あんな?にいちゃんの受験が終わったから、うち言わなあかんことがあるんよ?」
 私は、まだ少しだけ残った涙を拭いながらも答えた。
 「え?言わないとだめなこと…?」
 励ますさんは、頷いて言う。
 「そうや。うちが現れるんはこれで最後ってことや。にいちゃんの受験は無事に終わったから、うちの役割はもうおしまいや。」
 これからも励まし続けて欲しい、そう思ったが、私は理解した。
 おそらく励ますさんは、これからも他の受験生を励まし続けるのだろう。
 私は言った。
 「…わかったよ。励ますさん、本当にありがとう。何度も何度も励ますさんの言葉に助けられてきたよ。本当に本当にありがとう。」
 それを聞くと、励ますさんはニコッと笑って最後にこう言った。
 「うん。にいちゃんはほんまによう頑張ったよ。お疲れ様やったな。…そや、にいちゃん、うちからの最後のお願いや、聞いてくれるか?」
 私は、うんと頷いた。
 「にいちゃん、いつの日か、受験生のこと励ましたってくれへんか??うちが今回、にいちゃんにしたみたいに。」
 私は答えた。
 「わかった…、喜んでするよ。この受験期間で支えてくれる人の存在がどれだけ大切かよくわかったよ…。」

 励ますさんがこちらの方へ飛んで来ると、その小さな身体で私を抱きしめ、「ほんまにようやった。」と耳元でそう言った。
 手の中の励ますさんが、次第に消えていっているのを感じた。
 そして、最後には温かさだけが、私の身体に残っていた。

そうして私は、4年間の大学生活の後、無事に卒業し、社会人になった。
『あの時』の約束通り、私は今日も「励ますさん」の活動を続けている。

終わり

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